藤井聡太王位棋聖 第6期叡王戦 結果と解説

将棋 藤井聡太 

藤井王位棋聖が叡王戦で豊島叡王と対戦をし王手をかけました。対局についての内容とプロ棋士の解説を紹介します。

藤井聡太王位棋聖 第6期叡王戦第3局 日時と会場

2021年8月10日 豊島将之叡王に藤井王位棋聖が挑戦している第6期叡王戦
ここまでの成績は1勝1敗のタイで迎えた

会場 愛知県名古屋市 老舗料亭「か茂免(かもめ)」
先手は藤井王位棋聖(第1局で振り駒を行いそれ以降入れ替わりで先手後手が決まっている)
対局開始 9時 

持ち時間 各4時間(チェスクロック使用)
使い切ると1手60秒未満で指す必要があります

立会人 久保利明九段
記録  齊藤優希三段(深浦康市九段門下)
現地大盤解説会 中村太地七段と山根ことみ女流に段

この日の天候は
昨日の名古屋市は気温が37.8度まで上がった。今朝は台風9号が接近しているため、風が強く雨も降っていました。それが始まる頃には晴れ間が見え始めました。
8時47分藤井王位棋聖、豊島英王の順番で入室

第6期叡王戦 藤井聡太王位棋聖 公式戦成績(本戦含まず)

通算成績  231勝44敗(0.840)
昨年度成績 44勝8敗(0.846)
本年度成績は18勝4敗(0.818)


本気戦成績は15勝4敗(0.789)
第3期から出場。今期が初めての挑戦権獲得

第6期叡王戦 豊島叡王 公式成績(本戦含まず)

通算成績 520勝239杯(0.685)
昨年度成績 33勝19敗(0.635)
本年度成績は7勝6敗(0.538)

本棋戦成績は23勝9敗(0.719)
第1期から出場。第5期は挑戦者となり当時の永瀬叡王との激闘をせいして叡王を奪取

豊島叡王と藤井聡太王位棋聖の対戦成績(本戦含まず)

対戦成績は豊島8勝、藤井4勝
豊島の6連勝から始まり、今年始まってすぐに戦った朝日杯からは盛り返しており
タイトル戦に入ってからはここまで3勝2敗としており優勢に立場を逆転していました

藤井聡太王位棋聖 第6期叡王戦 戦型

両者の対戦は4局連続で角換わりが続いており本戦を含めると5局連続角換わり
この戦型は両者の得意とするところですが藤井王位棋聖がデビュー当時からよく採用しており
現在でも最も得意とする戦型

第6期叡王戦 投了時間・消費時間

121手をみた豊島叡王が投了を告げた
終局時間は17時39分
消費時間 豊島叡王 4時間0分
     藤井王位棋聖 3時間35分

第6期叡王戦 豊島叡王VS藤井王位棋聖 対局中継と解説者

中継:アベマ将棋チャンネル(無料・有料版もあり)
   日本将棋連盟アプリ(有料・棋譜とプロ棋士解説)

解説者:広瀬章人八段
解説者:田中悠一五段
聞き手:甲斐智美女流五段
聞き手:和田あき女流初段

第6期叡王戦対局後の総括 広瀬八段

「角換わりの定石形の一つで豊島叡王の深い研究が藤井王位棋聖もわかってはいたと思うんですけど
角と銀を盤上に配置して含みはいい勝負だと思うんです。

でもなんか圧迫されていつのまにか指しての難しい将棋になって
86手目6六香と打ったのが思ったより響かなかったのが誤算でもあり

ただその手に対して攻め合った藤井王位棋聖の大局観というか判断力の正確さが際立った一局だったかなと思います。

最後はちょっと差がついてしまいましたけど勝負どころは難関な変化が多くてやっぱり
読みの深さが重要だなと思いましたね」と総括しています。

ちなみに敗着とされた手を指した瞬間検討室では6六香について
これは意外だ。ここにうつ駒は桂だと思われていた
6八玉をけしているが次に後手の手番でどう攻めるかは難しい

先手は攻めも受けもありそうだ

その意味では相手を迷わせる手と言えるとしながら
広瀬八段はこの時、先手6五銀、8七桂、同金、6七香成を解説しています。

豊島叡王はこの手に変えて8七桂は見えにくいがそれが良かったとしていたのです
そしてこの一手前藤井王位棋聖が指した先手85手目7七桂に対して検討陣は

この時点で「先手は手の流れが良いですね」と称賛し流れを掴んで居ることを感じ取っていました
この辺が勝敗を分けた局面だったのかもしれませんね。
広瀬八段は藤井王位棋聖の難解な将棋でも分かり易く解説を行いまた
途中で分かりませんといって投げ出すこともなくきちんと
仕事をされているすばらしい棋士です。

真田圭一八段解説 

真田八段も広瀬八段と同じ局面について分析しており実は豊島が指した86手目6六香には別の狙いがあったとしています。

以下解説
第一感は△6六桂と、香ではなく桂を打つ手。だがそれではよくならない。△6六香は、藤井玉が身動きのできなくなる手で、終盤の手としては厳しい手だが、持ち駒に乏しい現段階ではそれほどでもない。よって狙いとしては、藤井玉にプレッシャーをかけて、その状況でどう対応するかを見てみたい、そんな考えがあったのではないか。
プレッシャーに動じなかった藤井2冠が勝ち切ったここからの藤井2冠の指し回しは素晴らしかった。
安全に指すならどこかで▲6六角と香を外してしまえばよい。だが必要以上に安全主義に陥ることなく、87手目攻めの▲3三歩、91手目後の▲6八歩を可能にする読みの入った▲6三歩成、105手目落ち着いて盤上の駒を活用する▲9六銀、と硬軟自在の指し回し。自玉が頭金一発で詰んでしまう形ながら、全く心理的負担や動揺を感じさせない指し方で勝ち切ってしまった。  玉を薄くしてプレッシャーをかけても効果は無いなと、豊島2冠も舌を巻いたのではないか。安定した強さを発揮して勝ち切った藤井2冠。
出典:叡王戦第1局 藤井聡太2冠「非常につらい受け手」からの攻め合い選択 真田圭一八段解説

藤井王位棋聖 第6期叡王戦 プロ棋士賞賛の手順

65手目 先手8四角について
広瀬八段:「将棋AI は65手目8四角を示していました。後手6五桂に先手6二角なりを用意した受けの手です。それでいいのかなとおもっていたのですが、藤井さんは指しましたね。さすがです。対して我々は後手6三金を予想していたのですが豊島さんの2二銀もAIの推奨手でした。間違いなく研究手順です」
65手付近まで研究しているとは豊島叡王恐るべし

67手目6六桂
佐藤康光九段「あー。打った。いかんな、一から勉強しないと」と苦笑する
このては筋が悪いと話していたところに藤井の一手で驚いた様子

藤井聡太王位棋聖 第6期叡王戦 第4局について

第4局は8月22日、名古屋市の「名古屋東急ホテル」
対局開始 9時
持ち時間 各4時間
先手:豊島叡王

まとめ

この対局は1勝1敗のタイで迎えたシリーズの流れを大きく左右する一番で第注目でしたが藤井王位棋聖が圧倒する内容で勝利。
両者が得意とする戦型で両者とも入念な研究手だったため、序盤からハイペースで進む中
65手目、ネットで解説を務めていたプロ棋士を驚かす藤井の一手が指された。
先手8四角。受けの一手だが、プロもあまり指さない新感覚の一手だった。
「角使いの名手」の藤井の本領発揮だった。

昼食休憩後は難解な中盤戦が続き、両者ともペースダウン。終盤にジリジリとリードを広げた藤井が、鮮やかに寄せ切った。

直近5局で4勝1敗。3つ目のタイトル奪取へ大きく前進しています。
羽生善治九段(50)が持つ最年少3冠(22歳3カ月)の更新に王手をかけ次の対局に期待がかかります。

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