藤井聡太棋聖に負けた木村王位が対局後語った相手を賞賛した言葉とは..負けなし3連勝で王位奪取に王手【2020年8月4日5日王位戦7番勝負第3局】

将棋 藤井聡太 

王位戦7番勝負第3局前日の会見で木村王位は「第2局は大逆転負けしたが、いい面も少し出た。
切り替えて自分の力を出したい」とリベンジを誓って始まった対局でしたが
今局も見事149手で藤井棋聖が勝利しました。
これで3連勝。
次の福岡、大濠公園能楽堂で勝利すればストレートで王位奪取になります。
それが見えてくるようなゆるぎない内容に期待が膨らみます。

対局内容

今局の対局会場はタイトル戦の定宿、神戸市有馬温泉の「中の坊瑞苑」
戦型に約80年前に生まれた「土居矢倉」を採用し、一日目は木村に持ち時間を使わせる場面がありました。
今日の解説者は行方九段と増田六段でとても聞きやすい解説で 助かりました。解説者って本当に重要。

藤井棋聖は前日と同じ和装姿で午前8時45分に入室。
その後、木村王位が入室。
両対局者は記録係が読み上げる前日の手順を盤上に再現しました。
立会人の淡路九段が木村王位の封じ手をあけ 「封じ手は後手2三歩です」と読み上げ、午前9時、2日目が始まりました。

藤井棋聖の中でこの歩は予想あったかどうか。
副立会人の都成六段はこの封じ手に関して 「意外でした。もしかしたら変えて2四歩や2三銀では 精算が持てなかったのかもしれません。
2三歩は辛抱という感じで一番指したい手ではなかったと思います」と答えています。 これに対して藤井棋聖は47手目に1九飛と指しました。
この下段飛車は控室の都成六段も上げており 「間合いをはかる価値の高い一手」とコメントしています。

互いにゆっくりとした駒組みが続いていた昼前、先手の藤井棋聖が34分考え、
自陣6九の金を5八に進めました。
盤上に出現したのは、 通常の「矢倉」とは異なる「土居矢倉」の陣形。
「う~ん」という感じの木村王位はそこから41分も考え、 そのまま1時間の昼食休憩に突入。
対局再開後もさらに5分悩んでから、ようやく自陣の駒に手を付けた。

午後になり互角だった形勢が徐々に藤井棋聖に傾いていきます。

83手目4五桂と指したところで 都成六段は「先手は自玉が鉄壁のままですし、藤井さんがこう言う展開で 間違ったためしはないですね」とポツリ。

最終盤であとはどう寄せるかという局面でも藤井棋聖は じっくりと焦ることなく指し続けます。

AI上では80対20と大きく勝勢を見せている中、残り数分になっても 確実に読むためしっかりと時間を使っていきます。
解説ではどこまで読んでいるのでしょうかと話していましたが 恐らく慎重に慎重を期し、考えているためなんじゃないかと見ていました。

そこにきて124手目2三玉
この一手で評価値が一気に互角に戻ります。 ただ控室ではまだ後手玉のはっきりした寄せが見つかっていませんでした。 「これで逆転したのでは」という声も出始めてしまった。

126手目3四玉を見た都成六段が
捕まらない可能性が高くなってきましたとポツリ

128手目付近で淡路九段が
「いやー将棋やからこう言う事もあるんやね。先手2一銀打ちとするまでは藤井さんが完璧に指して いたと思ったけど」と話すほどになっていました。
ただこれで終らずまた巻き返していきます。
一瞬形勢が互角になりましたが幻のごとく消え去り 藤井棋聖優勢へ。

このあとも正確な差し回しが続き

149 手を見た木村王位が投了を告げました。

対局後木村王位の話

木村一基王位「歩を交換されて損してしまったのでじりじりとした展開を目指した」 「受けに回ったのでしょうがない部分はあるにせよ一方的に攻められるつまらない展開にしてしまった」 「諦めちゃいかんなと思ってやってたが辛い展開でしたかね」「2二銀打以下もつらいかなと思って指していた」

藤井聡太棋聖

「(矢倉)早囲いの予定で指していたが序盤は少し失敗した」「途中は手の調子がいいとも思ったが受けられてみると難しい」 「3四歩は指し過ぎだった単に1五角が勝ったかも」「本譜は仕切り直しの順」 「寄せに誤算(2二銀打)があり負けにしたかもと思った」「飛車回りで合駒を取れるので好転」

記者からの質問が終わったあと感想戦を2人でじっくりしていましたが 木村王位はひたすらしかし。そうかの連発で 自分を納得させようとする姿は今迄の対局と同じでした。

悔しい思いを抑えて後輩の言葉を素直に受ける姿勢は 人としての素晴らしさを感じるとともに 正直かわいらしさすら感じました。
だから多くの人に好かれるんでしょうね。

土居矢倉は太平洋戦争前の1940年に指した土居市太郎名誉名人がその後、 好んだことにちなんで名付けられました。。

最近、再流行し指されることがあるが、 この戦前生まれの戦型を、平成生まれの藤井棋聖が用いたためか 「18歳が指す将棋とは思えない」 「昭和の趣」などファンの驚きの声がネット上にあふれました。

解説の増田六段も最近藤井棋聖が採用する事が増えたので棋士の間でも
矢倉を研究する人が増えているというような事を話していました。
藤井棋聖が指す棋譜は研究材料とされるので、
角換わりでひたすら戦うのは大変になっている事も関係しているのでしょうか。

以前は角換わりが多かったが、最近、新しい“エース戦法”として
同じぐらい多用するのが矢倉。
初タイトルを獲得した棋聖戦5番勝負でも渡辺明王将=棋王との2冠=から
挙げた3勝はいずれも矢倉からでした。

第2局から3週も間隔が空いた今回、入念に準備した作戦が20以上もあるといわれる矢倉の一つ、
土居矢倉だったとしたら、
研究の奥深さに改めて感嘆させられます。

将棋の格言

 「矢倉を制する者は棋界を制す」。
かつて加藤一二三・九段(80歳や中原誠16世名人(72歳らがしのぎを削っていた昭和時代、そういわれてタイトル戦で多用された。
藤井はその格言を極めようとしているのか。
手が付けられない最近の強さに加え、 今年度ここまで6戦全勝の矢倉の使い方で力を見せて、かつ今局勝利し7戦全勝と 驚異の強さを見せつけています。

 この勝利で2冠に王手が掛かりました。。

 因みに土居矢倉とは
代表的な矢倉囲い・金矢倉は王が8八の深い位置にあり、 金銀3枚が密着しているため敵からの攻めに堅い。 土居矢倉は金銀の連結が弱く、王も7八にあるため弱いが、 攻めに対応して逃げも打てる懐の深さがある。
日本将棋連盟の前身、東京将棋連盟会長・土居市太郎名誉名人が 好んだ戦型といわれています。

増田六段トークで 藤井棋聖曰く王位戦が終われば少し余裕が出来ると話していた という話を聞いた永瀬二冠が目を光らせていたようです。

練習将棋を頼めるという事のようです。
アベマトーナメントでチームバナナは勝ち進んでいますので そちらも注目ですね。 有馬温泉に入ってゆっくりできたのかな。
藤井棋聖珍しく羽生九段を髣髴とさせる寝癖が 今日は付いていて和みました。

今日の勝負飯

【午前10:00】 
午前のおやつタイム。両者は午前のおやつは注文せず、飲み物だけオーダー。
藤井棋聖はガムシロップとミルク付きの「アイスコーヒー」。

【12:30】
 1時間の昼食休憩に入った。
挑戦者の藤井聡太棋聖は「肉うどん膳」。今回の対局場の人気メニュー。

実はこのメニュー谷川浩司九段(58)や羽生善治九段(49)も愛好する逸品で、羽生九段が注文すると勝率が高いことから「勝利を呼ぶメニュー」とも呼ばれた。

お肉が見るからにおいしそう。神戸牛

うどんは地元の兵庫県産小麦「ふくほのか」を使用。
だしはメジカ節、サバ節、ウルメ節の3種をブレンドした上品な味。
その上に神戸牛の肩ロースが鎮座する。藤井棋聖が注文したのは、この肉うどんにてんぷらやご飯が付く「肉うどん膳」。
1日目の昼食では「神戸牛すき鍋膳」を頼んでおり、神戸牛を連続で採用した。 

猪名野の中原正俊店長(53)は「今回の王位戦に合わせてテレビなどで紹介され、この数日は『食べられるんですか』という問い合わせが殺到している。予想以上の反響」と語る。
実際に藤井棋聖が注文したことで「より注目が集まると思う。選んでいただいてありがたい」。

同店では今後、期間限定の特別メニューとして「肉うどん膳」の提供を検討しているという。
館内の和食レストラン「旬彩 猪名野いなの」で作られる肉うどんは、宿泊者限定のルームサービスとして提供している「裏メニュー」。気に入った谷川九段が何度も頼むようになり、王位戦の対局での定番メニューとなった。

【午後3時】
迎える前におやつのオーダーが明らかになりました。
藤井棋聖はパインジュースのみだった。

最後に藤井棋聖が勝利した事に関して将棋ファンの声を最後に紹介して終わりにしたいと思います。
YouTubeでも動画を作成しています。
「トキのワダイ」

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